料理と器:杉江保枝

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DATE:
2006.12.29

『大根と牛すね肉のポトフ風』

前々回のおもてなし料理にも登場した牛すね肉。ビーフシチューなどによく使われますが、脂分が少なく思いのほかヘルシーな食材です。また、圧力鍋で煮出すだけでとても美味しいフォン(スープ)が取れます。今回はこのフォンをそっくり用いて大根と煮合わせ、ポトフ風に仕上げてみました。味付けはシンプルに塩と胡椒だけ。やわらかく煮上げた大根には肉の旨味がしみこんで、何とも言えぬ味わいです。もちろん箸で切れるほどに煮込んだ肉も美味。ポトフですから辛子などを添えていただきますが、おすすめは毎度お馴染みの柚子こしょうです。柚子こしょうの塩気を考慮して薄味に仕上げ、素材のうまさと柚子の薫りを堪能してください。

用意するもの(概略)
  • 牛すね肉かたまりで620g
  • 水700cc
  • 粗塩小さじ2
  • 大根1本
  • 大根のあく抜き用に米のとぎ汁適宜(または米数粒を入れて茹でる)
  • 塩・胡椒適宜

一口メモ

●ブーケガルニやベイリーフなど一切使わず、シンプルに仕上げてありますが、牛肉の匂いがどうしても苦手という方は、最初に圧力鍋で煮出す段階からブーケガルニ等を加えてください。より一層味わい深くなります。味付けは塩と胡椒のみ。最初に肉にすり込んだ粗塩がかなり効いていて、フォンを取った時点でそのままでも十分美味しい味になっています。この味を生かして大根をじっくり煮込み、最後に塩床小で味を調えてください。また、ポトフの醍醐味は何と言ってもあつあつをフウフウいいながら食べること。卓に供するときは、熱いところを必ず出しましょう。

作り方
  1. 牛すね肉は表面に粗塩小さじ2をよくすり込んだ後、煮くずれを防ぐために糸で縛り、塩が馴染むまで5分ほど放置。圧力鍋に入れ、水700ccを加えて火にかけ、重りが回ったら火を弱めて30分加熱。火を止めた後は冷めるまで自然に放置する。
  2. 大根1本は2センチほどの厚さに切って皮を剥き、面取りをし、たっぷりの米のとぎ汁で茹でてアクを抜く。大根に竹串を通してすんなり通るようになったら火から下ろし、大根の周りに付いたアクを丁寧に水で洗い流しておく。
  3. 1の圧力鍋から肉を取り出し、フォン(スープ)をスープ濾しで濾す。
  4. 3のフォンと2の大根、3の肉を合わせて鍋に入れコトコトと一時間以上弱火で煮込む。一旦火を止めて冷ましてから再度加熱すると、味が良く染みて美味しくなる。
  5. 最後に塩・胡椒で味を調えて出来上がり。肉を取り出し、糸を取り除き、食べやすい大きさに切り分けて大根と共に器に盛りつけ、辛子や柚子こしょうを添えて卓に供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●大根のあく抜きはもうお馴染みだと思いますが、とにかく竹串がすっと通るほどやわらかく茹でておくことが肝心です。ここまでしないと味がよく染みません。煮る段階より、この段階で気を遣ってください。また煮物に味をしみこませるコツは、一度冷ますことです。冷めて行く課程で味が馴染んでゆくのです。一時間以上コトコト煮込んだら、一度火を止め、冷ました後再度火を入れると、まろやかで美味しい煮物が出来上がります。熱いポトフで、寒い季節を乗り切りたいものですね。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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