料理と器:杉江保枝

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DATE:
2006.12.16

『牛すね肉とりんごの赤ワイン煮』

●先週当欄でご紹介した『豚バラ肉のタレ焼き』にもりんごを使っていましたが、今週のこの料理にも、肉を軟らかくするフルーツ酸=りんごをたっぷり使っています。牛すねのワイン煮というと、赤ワインに漬け込んだ肉を何時間もかけて煮る、という印象が強いのですが、今回は圧力鍋を使い、下煮を兼ねて綺麗なフォン(スープ)を取り、それからりんごと合わせて赤ワインで煮付けてあります。すね肉は脂分が少なく、意外とあっさりした味わい。そこに甘味のあるソースが絡んで、何とも言えぬ美味しい煮込み料理が出来上がりました。見た目は豪華ですが、しつこさはなくむしろヘルシーな味わい。肉はもちろんとてもやわらかく、箸でさっくりほぐれて食べやすく仕上がっています。クリスマスのディナーにひと品加えてみてはいかがでしょうか。

用意するもの(概略)
  • 牛すね肉固まり(約670g)
  • 粗塩小さじ2
  • 水適宜
  • りんご小2個
  • タマネギ中1個
  • ニンニク1片
  • 粒胡椒小さじ1
  • ベイリーフ1枚
  • 赤ワイン2カップ
  • バター20g
  • 薄力粉大さじ1
  • 塩・胡椒適宜
  • 付け合わせ用の野菜(じゃがいも・ブロッコリー・人参適宜)

一口メモ

●いわゆる赤ワインにとは違って、最初に肉を下ゆでしてから煮込んでいきます。最初に圧力鍋を使って下ゆでをするのは、そうすると肉が短時間でやわらかくなるためでもありますが、もう一つの理由は、これによってとても上品で綺麗なフォン(スープ)が取れること。実際に煮込んでゆく際に使うフォンは400ccで、余った分はスープにしたり、他の料理にも使えるのでとても便利です。加熱後、自然放置し、冷たくなってから次の段階に移るわけですが、冬ですと一晩おいただけで表面に余分な油が白く浮いてくるので、これを取り除くと一層ヘルシーで雑味のないフォンになります。冷蔵庫で冷やしてもいいでしょう。濾すときもなるたけ丁寧にするよう心がけるといいでしょう。

作り方
  1. 牛すね肉は粗塩小さじ2を全体にまぶして5分ほどおく。
  2. 圧力鍋に1を入れ、全体がかぶるように水を加えて強火にかけ、重りが回ったら火を弱めて30分加熱。火を止めた後は十分冷めるまで30分以上自然放置する。
  3. 2から肉を取り出し、残ったフォン(スープ)をスープ濾しで濾す。濾す前に表面に油が浮いているようなら丁寧に取り除く。
  4. りんごは皮付きのまま芯を取り、適当な大きさに切る。タマネギも皮を剥いて適当な大きさに。ニンニクは2つ割り。以上をフードプロセッサにかけ、やや粗めにすり下ろしておく。
  5. 3で鍋から取り出した肉を再度圧力鍋に入れ、濾したフォンのうち400cc、赤ワイン400cc、さらに粒胡椒小さじ1をすりつぶしたもの、4ですり下ろしたりんご、タマネギ、ニンニクを加えて強火にかけ、重りが回ったら火を弱めて25分加熱したあと、15分放置する。
  6. 5で煮上がった肉を取り出し、ソースだけを強火にかけ、3分の1量になるまで弱火で煮詰める。
  7. フライパンを火にかけ、バター20gを溶かし、薄利粉大さじ1を加えて弱火でゆっくり加熱。ヘラを使ってだまができないようじっくりと炒め、綺麗な茶色に色づいたら、6のソースを少しずつ加えて滑らかに混ぜ合わせ、ある程度ゆるくなったら6に加え、全体を良く混ぜ合わせて、適度なとろみが出るまで5分ほど加熱する。
  8. 6で取り出した肉を適当な大きさに切り分けて7に戻してあたためる。
  9. じゃがいもとブロッコリーは茹でたもの、人参はグラッセにしたものをつけ合わせにして肉と共に皿に盛りつけ出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●りんごを使っているので甘味のある煮込みに仕上がっています。他にセロリなどの香味野菜を加えればさらに複雑な味に仕上がりますが、今回はりんごの風味を大切にしたかったので、タマネギとニンニク、ベイリーフ程度で抑えてあります。とろみとコクをつけるためにバターと小麦粉を炒めたものを加えてありますが、失敗が怖い、という方は市販のデミグラスソースを使用してください。召し上がるときはソースをたっぷりからめて、すね肉の旨味と共にゆっくり味わってください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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