料理と器:杉江保枝

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DATE:
2008.04.27

『豆腐と野菜のキッシュ』

●今週もメタボ対策から生まれたひと品。キッシュというと相当カロリー高そうですが、豆腐を使って卵とチーズの量を減らし、野菜をたっぷり入れて軽い仕上がりに作ってあります。基本のタルト生地にもバターでなくオリーブオイルを使用。それもほんの大さじ1/2程度ですから脂質を気にする必要がありません。例えば1/8カット一切れと野菜スープ及び果物で昼食、というメニューなら、かなりカロリーカットでき、しかも野菜がたっぷり摂れるという寸法です。チーズが入っているので満足度が高く、少量でも結構お腹いっぱいになります。今回はかき菜と人参としめじを入れていますが、菜花やほうれん草など、そのときどきに応じて中身を変えています。生地作りが少々面倒ですが、慣れてしまえば何ということもありません。どうしても面倒な方や、カロリーを気にしない方は、市販のパイシートを使えばもっと手軽に作れます。
用意するもの(18〜19センチのタルト型1台分・概略)

タルト生地

  • 薄力粉1カップ
  • たまご1個
  • 塩小さじ1/2
  • オリーブオイル大さじ1/2
  • 水小さじ1

アパレイユ(卵液)

  • 豆腐100g
  • 卵3個
  • 生クリーム100cc
  • チーズ20g(ピザ用のミックスチーズで可)
  • 塩小さじ1/2
  • 野菜(人参・しめじ・かき菜各50g)

一口メモ

●面倒なのはやはりタルト生地。作ったことのない型は戸惑うことばかりかと思いますが、慣れてしまえば何ということもない作業です。最初に混ぜ合わせるときは、やはりスケッパーは必需品。最近は百円ショップのケーキ用品売り場でも手に入るので、この際買ってしまいましょう。細かいものをすくったりするときも結構役に立ちますよ。最初は卵を含めて全体を切るようにしながら混ぜ合わせます。だんだん水分と粉が馴染んできますから、水を少量加えてさらに馴染ませ、あとはまとめに入りますが、このとき絶対にこねてはいけません。全体を手のひらでぎゅうぎゅうつぶすようにしてまとめてはたたみ、たたんではまた広げます。そうしているうちに、まわりにこぼれていた粉も一緒くたになって、いつの間にか手に生地がつかなくなったら生地の出来上がり。あとは冷蔵庫で休ませますが、万が一粘りが出てしまったら、半日くらい休ませてから使用した方がいいでしょう。また生地に敷いたあと、どうしてもあまりが出ます。再度まとめておいて、次回の生地に混ぜ合わせて使用する方法もありますが、オリーブオイルを使っているために油が酸化して黒くなるので、できれば使い切りたいもの。薄くのばして適当な大きさに切り分けて、最初の下焼きのときにまわりに並べて一緒に焼くとグリッシーニに近いおつまみができます。こちらもお試しを。

 

作り方
  1. タルト生地を作る。作業台の上に薄力粉カップ1をふるい、中央をくぼませて卵1個を割り入れ、塩小さじ1/2、オリーブオイル大さじ1/2を加えてスケッパーなどを使って切るように全体を混ぜたあと、水小さじ1を加え、指先を使ってまとめる。生地がまだぱさぱさしているようならさらに水を加える(加えすぎるとべとべとになるので注意)。
  2. 生地がまとまってきたら、こねずに手のひらを使って全体を広げてはたたみ、たたんでは広げる作業を何度も繰り返してさらにまとめてゆく。手に生地がつかくなったら、適当な大きさに丸めてラップに包み、冷蔵庫で20分ほど休ませる。
  3. 作業台に軽く打ち粉をし、休ませたタルト生地を薄くのばす。タルト型全体にかぶる程度に広がったら、型の上に広げて隅まで敷き込み、まわりの余分な生地は切り落とす。
  4. 敷き込んだ生地全体にフォークを使って穴をあけ、再度冷蔵庫で15分ほど休ませる。
  5. 生地を休ませている間に豆腐の水抜きをする。豆腐100gはキッチンタオルなどにくるんで、ラップをせずに電子レンジの弱(約300w)で3分加熱したあと、キッチンタオルが濡れているようなら取り替えて、上に水を張ったボウルなどを置いてよく水切りをする。
  6. 休ませた生地を取り出し、上からオーブンシートなどを敷き、重し(市販されている金属の重し、小豆など)を置いて180度に熱したオーブンで25分間焼く。
  7. 生地の焼き上がりを見計らってアパレイユ(卵液)を作る。
  8. 人参50gは厚さ2〜3ミリの銀杏切り、しめじ50gは細かく刻んで、両方ともさっと湯通ししておく。かき菜50gは固めに茹でて水に取り、アクを抜いてから細かく刻んでおく。
  9. 水切りした豆腐をフードプロセッサに入れてすり混ぜ、卵2個を加えてさらに混ぜ、生クリーム100ccを加えてさっと混ぜ合わせる。
  10. 7の卵液をボウルに移し、チーズを混ぜ合わせる。ピザ用のミックスチーズで可。ただしカットが大きいようなら細かく切ってから加えること。そのまま混ぜるとうまく溶け合わず味に偏りが出る。
  11. 焼き上がったタルト生地の中に8の野菜を均等に並べ入れ、上から10のアパレイユを注いで再度オーブンへ。180度で25分加熱する。
  12. 焼き上がったらあら熱を取り、まだ熱いうちに型からはずして切り分ける。生暖かいところをいただく。冷たくなったものは、電子レンジで軽く加熱していただく。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●キッシュのアパレイユには、通常すり下ろしたグリュイエールチーズを使用します。本格的に作るにはデパートなどでグリュイエールチーズを買ってくるのも一つの手ですが、今回は日常的に手軽に作れる方法を考えて、いつでも手に入るピザ用のミックスチーズを使用しました。ゴーダチーズがブレンドされている、やや高級なものを選びましたが、ごく普通のミックスチーズでもかまいません。ただ、こうしたミックスチーズの場合はカットが大き過ぎるので、細かく刻んでから使用してください。細かく刻むとほどよくチーズが溶けて、全体にまろやかでコクのある出来上がりになります。ほんの20gのチーズですが、豆腐の味が助けになって満足感が得られます。生クリームや卵もかなり控え目の量。一切れなら大した量を摂取するわけではないので、カロリーに悩む型にはおすすめです。中身の野菜はお好みで。今回はかき菜と人参としめじを使用。よく行くビストロでは、春になるとふきのとうと筍を使ったキッシュを作ってくれますが、ふきのとうの苦味がとても美味です。いずれも加熱してから使うのがコツ。ごぼうやじゃがいもなどの根菜もおいしいのではないかと思います。いろいろと試してみてください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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