料理と器:杉江保枝

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DATE:
2006.10.06

『いくらの醤油漬け』

●市販のいくらの醤油漬けって、いや〜な甘味があると思いませんか? 人工の甘味料や調味料、それに保存料も入っていそうでちょっと不安も感じます。そう、いくらは自分でつけるのが一番。といっても生の筋子は秋から冬にかけてのこの季節にしか手に入りませんから、まさに今が旬の料理と言えるのではないでしょうか。作り方は至って簡単で、生の筋子を醤油とみりんにつけるだけ。大変なのは筋子を皮から外す作業ですが、これも適切な温度のお湯を使って丹念にやれば、失敗することはありません。つけあがったいくらはプチプチと口の中ではじける感覚がたまりません。白いご飯にまぶしていくら丼も美味しいですね。お手数の柚子こしょうを添えればまた格別。ぜひ手作りをお勧めします。

用意するもの(概略)
  • 生筋子1腹
  • 醤油適宜
  • みりん適宜
  • 柚子こしょう(盛りつけ用)少々

一口メモ

●いくらを皮から外すのは手間がかかりますが、一度自分で漬けたいくらを食べてしまうと、その手間も何のその、という気になってしまう美味しさです。いくらや筋子が本来あまり好きでないさん生も、私が漬けたいくらなら、それこそいくらでも食べられると言います。さん生家では、醤油は和歌山湯浅のたまりを使っているので、これだけでも十分に美味しく漬かるのですが、やはり多少アルコール分が入った方が味も深く、保存もきくようです。ただ、日本酒をそのまま使うと酒臭くなり、下戸の方にはちょっと食べにくくなるので、みりんを使っています。みりんの量はお好みで調節してください。甘めが好きな方は多めに入れ、しょっぱいのがいいという方は少なめに。

作り方
  1. 生筋子は40℃程度のお湯につけ、皮を丁寧に取り除く。筋子が冷えているとすぐにお湯が冷めるので、随時適温を保つのがコツ。最初は湯の中で振るようにして身をはがし、取れないものは指の腹を使って軽く絞り出すようにすると良い。大きな皮がはがれたら、何度かお湯を換えながら筋や細かい皮を取り除く。お米を研ぐような要領で、ザルを使って上手にお掃除する。全体にキレイになったら(この時点では魚卵は白っぽい)、冷たい塩水にさらして引き上げると、鮮やかないくら本来の色になる。
  2. 皮を取り除いたいくらを保存容器に移し、醤油をひたひたに入れる。みりんはお好みの量で。味を見ながら調節すると良い。
  3. 冷蔵庫に保存して、半日程度から食べられる。
  4. 器に盛りつけて出来上がり。自家製の柚子こしょうを添えるとまた味わい深い。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●白いご飯にとにかく合うので、ついつい量が進んでしまいます。丼に白飯を盛りつけ、もみ海苔を敷き、その上からいくらの醤油漬けを載せて柚子こしょうを添えると、ちょっとしたご馳走に。もちろん単品でもとても美味しく、日本酒のつまみにはこれ以上のものはありません。市販のいくらの中には、人工的に作られたものもあり、生の筋子を買ってきて自分で漬けるのが一番安心できます。生筋子が出回るのは秋から冬にかけてのみ。短い期間しか味わえない贅沢を、ぜひ堪能してください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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