器:杉江保枝

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DATE:
2005.08.12

『さん生さんちの特製カレー』

●暑い夏にはやっぱりカレー。今週はさん生家特製カレーのご紹介です。特製というとスパイスの調合に凝る場合が多いようですが、スパイスの世界は奥が深すぎて「凝る」ところまで行き着くのは至難の業。というわけで、さん生家のカレーは市販のカレー粉をそのまま使用します。その代わり小麦粉を一切使わず、野菜だけでとろみをつけ、鶏肉と一緒にじっくり煮込んで味わい深いカレーに仕上げてあります。数種類の野菜が織りなすハーモニーは絶妙で、ちょっと癖になる美味しさ。よく炒めた玉ネギの風味にりんごと人参の甘さ、さらにトマトの酸味とセロリの香りが加わって、スパイシーな中にもしっかり旨味を感じさせる一品です。ぜひ一度お試し下さい。

用意するもの(直径30センチ程度の大鍋1つ分・概略)
  • 玉ネギ(中)3〜4個
  • オリーブオイル大さじ1
  • ニンニク2かけ
  • トマト(中)2個
  • トマトの水煮(カット)1缶
  • 人参(中)3本
  • セロリ約1/2株
  • りんご2個
  • 鶏むね肉4枚
  • 塩、胡椒適宜
  • ハチミツ大さじ2
  • 赤ワイン1/2カップ
  • カレー粉(市販のもの)30~40g
  • 水800cc
  • チキンコンソメまたはチキンスープの素ティースプーン5杯程度
  • ローリエ3枚
  • 粒胡椒小さじ2
  • カラメルソース(砂糖大さじ2と同じ分量の水)
  • 御飯・干しぶどう適宜

一口メモ

●野菜だけでとろみをつけるところがこのカレーの特徴です。野菜は玉ネギとニンニク以外は全てミキサー等でペースト状にしますが、人参やセロリは、ともするとぱさついてうまくペーストにならないので、水分の多いりんごと合わせて上手にペーストにします。トマトの水煮缶と生のもの両方を使用するのは、水煮の甘さの他に、酸味のあるトマトの風味を入れたいから。トマトの美味しい夏場には必ずこのように2種類のトマトを入れますが、冬場は水煮缶だけでも十分です。全ての野菜を鍋に合わせて、水とスープを加えて煮込みますが、最初は加熱するに従って水分だけが表面に浮いてきます。このとき、よく混ぜ合わせないと鍋底で野菜が焦げてしまいますので、要注意。時々木べらやお玉でかき回しながら、ゆっくりじっくり煮込んでください。野菜がとろけて水分と一体になるまで、時間をかけて煮込みましょう。

作り方
  1. ニンニク2かけは包丁の原を使ってつぶしてから粗みじんに。玉ネギは皮をむいてへたと根を取り櫛形に薄くスライス。
  2. 熱した大鍋にオリーブオイルを敷き、1のニンニクを軽く炒めたあと玉ネギを入れ、軽く塩をふって中火に落とし、ゆっくりと飴色になるまで炒める。
  3. トマトは湯むきし、荒くつぶしておく。
  4. 人参はへたを取り、皮のまま乱切りにする。セロリも乱切り。りんごは皮のまま真だけを取り、適当な大きさに切る。
  5. 4の野菜をフードプロセッサやミキサーを使ってペースト状につぶす。量が多いので2回に分けると良い。最初は人参、人参がある程度つぶれたらりんごの半量を加えてさらにすりつぶし、別の器に取る。次にセロリ、さらにりんごの残りを加えて器に取る。
  6. 2の玉ネギが程良く炒められたら、3のトマトを加えて軽く炒め、トマトの水煮缶を加えてさらに炒める。その後赤ワインを加えるが、缶詰の底にトマトが残っているので、缶詰をワインで洗うようにして使い切ると良い。
  7. 6に5のペースト状にした野菜類を加えてさらに軽く炒め、カレー粉を入れて全体を混ぜ合わせたら、水800ccと顆粒のスープティースプーンで5杯程度を加え、一度強火にする。
  8. 鶏むね肉4枚は赤ん坊のこぶし大に切り分け、軽く塩・胡椒をしたあと、少量の赤ワインを振りかけて4分ほどおく。
  9. 鍋が沸騰してきたら8の鶏肉とローリエ3枚、ハチミツ大さじ2、粒胡椒(ホールのまま)小さじ2を加え、木べらで全体をよく混ぜ合わせながら再び沸騰してくるのを待つ。
  10. 鍋が沸騰してきたら弱火に落とし、一度味を見て塩、胡椒で味付けし、フタをして1〜2時間ほどじっくり煮込む。煮込んでいると水分だけが表面に浮いてくるので、時々全体をかき混ぜながら、焦がさないよう注意しながらコトコト煮込む。
  11. 一度火を落として半日程寝かせ、再び弱火で加熱する。
  12. 小鍋に砂糖大さじ2と同量の水を入れて中火にかけ、カラメルソースを作る。程良く焦げ目が付いたところで11の鍋に加え、さらに10分ほど加熱し、最後に塩、胡椒で味を調えて出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●カレーの場合肉は炒めてから入れるのが常識のように言われます。肉の旨味を肉の中に閉じこめるためですが、むしろ野菜のとろみを味わってもらいたいさん生家のカレーの場合、そのままワイルドに入れてしまい、肉からどんどんエキスを出してもらいます。肉が次第に煮くずれてきますが、それもまた美味しさの一つです。

●カレー粉は市販のものを使用していますが、もちろんご自分で調合なさってもいいでしょう。市販のものに、さらにお好みのスパイスを足してゆくと簡単にオリジナルカレー粉ができます。辛みのお好きな方は最後にガラムマサラを入れてください。また、マンゴーチャツネを入れると甘さとコクが増しますが、煮込む課程でハチミツを使用しているさん生家ではカラメルソースで代用しています。一応チキンカレーですが、肉がなくなったら茄子やゴーヤなどを使って野菜カレーにしてもいいでしょう。また、ルーだけをとっておいて、ドライカレーやキーマカレーに使用するのも一法です。ルーは冷凍保存が利きます。もっともさん生家では、あまりの美味しさにこの大鍋があっという間になくなってしまいます。このうまさ、ぜひ召し上がってみてください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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