器:杉江保枝

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DATE:
2005.04.08

『わらびのゆば巻き煮』

●お花見のお弁当に入れたいようなかわいらしい煮物です。春ならではの山菜・わらびと人参を、ペースト状にした豆腐、鶏肉で包み、さらに生湯葉で巻きました。やや手間がかかりますが出来上がりはご覧の通り。味もさることながら、目でも楽しんでいただきたい料理です。もちろん丁寧に取ったかつおダシとみりん、醤油でじっくり煮込んだ味も二重丸。豆腐と鶏肉に包まれたわらび独特の香りと歯ごたえに、春の訪れを実感できます。作りたてをいただくのも美味しいのですが、出来れば一晩寝かせて召し上がってください。冷たいままでも風味は損なわれず、とても美味しく食べられます。まさに花見の宴にうってつけの料理と言えるでしょう。

用意するもの(概略)
  • わらび1〜2把
  • 人参(中)1本
  • 豆腐1/2丁
  • 鶏挽肉160g
  • たまご(中)1個
  • 片栗粉大さじ1
  • 生湯葉(平ゆば)2枚重ねにして12センチ角のものが4〜5枚取れる程度の分量
  • だし汁
  • 酒、みりん、醤油

一口メモ

●生湯葉、特に平湯葉は手に入りにくいので、乾燥湯葉で代用しても構いません。またお手軽なところでは油揚げを使って巻き煮にしてもいいでしょう。油揚げは3辺に包丁を入れて四角く広げて使います。もちろん油ぬきを忘れずに。わらびの分量が1〜2把となっていますが、巻き煮に使用するだけなら1把でも十分にまかなえます。多めに用意して余った場合は、4〜5センチの長さに切って、一緒に煮込んでください。盛りつけの時に写真のように添えると一層美味しそうにうつります。

●豆腐と鶏挽肉はすり鉢で合わせましたが、フードプロセッサーを使ってもいいでしょう。この場合、挽肉でなく、胸肉をそのまま使います。最初に鶏肉を、次にたまご、豆腐の順で入れてすりつぶします。

作り方
  1. わらびはあく抜きし、二等分する。
  2. 人参は皮を剥き、5ミリ角程度の棒状に切る。
  3. 豆腐はキッチンペーパーに包んで、電子レンジに約1分半かけて水切りする。
  4. 水切りした豆腐をすり鉢ですりつぶし、たまご、鶏挽肉、片栗粉を加えてよく混ぜる。
  5. まな板の上に12センチ四方の大きさに切った生湯葉を広げ、海苔巻きを作る要領で4を敷き、芯にわらび6本と人参2〜3本を置いて全体を巻き、左右の端2センチ程度のところをたこ糸で縛る。
  6. 平鍋に5を並べ、全体がかぶるようにだし汁を入れ火にかける。沸騰してきたら酒、みりんの順に調味料を加え、さらに沸騰してきたら醤油で味付けし、落としぶたをして15〜20分ほど弱火で煮込む。
  7. 火から下ろしたら落としぶたをしたまま自然に冷まし、そのまま一晩おく。味が染みたら出来上がり。冷たいままで十分美味しく食べられます。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2・わらびのあく抜き

●あく抜きには木灰または重曹を使います。木灰はわらび一把に一つかみ程度、重曹はお湯の分量の0.2%が目安です。木灰の場合はわらび全体にまぶしつけた後、沸騰したお湯に根本から入れ、すぐに火を止めます。重曹の場合は沸騰したお湯に重曹を入れ、やはりわらびを根本から入れてすぐに火を止めます。どちらの場合もそのまま落としぶたをして一晩おき、あくが抜けたら水にさらします。この作業が面倒な場合は、あく抜きの処理が済んでいるものを使用しても差し支えはありません。

●味付けはお好みで構いませんが、ゆばで巻いた分、味が染みにくくなっていますので、やや濃いめがおすすめです。一晩おいて味をよくなじませてからいただきましょう。十分に味をしみこませれば、煮汁なしでお弁当に入れて楽しめます。わらびのあく抜きに一晩、煮込んでからさらに一晩、足かけ三日の料理ですが、お花見の予定などを念頭に置いて、楽しみながら作ってみてはいかがでしょうか?

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